おつかれヤマです、マッシュです。
この記事ではMSR(エムエスアール)、TUBBS(タブス)、ATLAS(アトラス)の人気3ブランドからおすすめのスノーシューを紹介します。
(おすすめ14選をさっそく見たい方はこちらへ)
スノーシューとは、フカフカの雪の上を歩くための道具で、雪山遊びの幅が広がること間違いなし。
僕は今まで新潟で雪山登山を多くしてきましたが、雪の上でも沈まない不思議な感覚を体験してスノーシュートレッキングにハマりました。
しかし、スノーシューを選ぶ際には、「値段が高い」「そもそもどれを選べばいいか分からない」といった問題があります。
そこで今回の記事では、スノーシュー選びのポイントと、MSR、TUBBS、ATLASの3ブランドから厳選したスノーシューを紹介。
スノーシューの種類は挙げるとキリがないので、「急斜面用」「緩やかな斜面用」「平坦地用」に分けて紹介します。
この記事がこれからスノーシュー選びをする方の参考になれば幸いです。
スノーシューとはフカフカな雪の上を歩くための道具
スノーシューとはフカフカな雪の上でも沈まずに歩くための道具です。
日本の伝統的な道具に「かんじき」がありますが、スノーシューはヨーロッパから伝わった「西洋かんじき」。
靴だけだと雪に深く埋まってしまうところを、接地面積を広くして体重を分散させることで沈みにくくするのがスノーシューです。
スノーシューの裏面にはクランポンやトラクションレールが付いており、坂道やトラバースでも滑りにくく安全に歩行できます。
山岳用スノーシューにはかかと部分にヒールリフトが付いており、急斜面での登りでも足への負担を軽減してくれます。
スノーシューとワカンの大きな違いは浮力と携行性
広い面積のスノーシューに比べて、ワカンはシンプルなフレーム構造なので、浮力はスノーシューが優れています。
スノーシューにはヒールリフトが付いており、急傾斜での登る力をサポートしてくれます。
裏側にはクランポンがついており凍結場所に対応できますが、爪は短めなので急斜面では苦手です。
ワカンの裏側は2本の爪だけですが、アイゼンと同時に装着できるので凍結した斜面でも登れます。
携行性はサイズが小さく軽量なワカンが有利。
スノーシューはサイズが大きいので、リュックに取り付けるとき(後述)は工夫が必要です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
スノーシュー | ・面積が広く雪に沈みにくい ・バインディングで脱着が簡単 | ・クランポンが短めで急斜面は苦手 ・小回りにしくい ・大きく重いため持ち運びにくい |
ワカン | ・アイゼンと同時装着で急斜面も登れる ・小回りしやすい ・小さく軽いため持ち運びやすい | ・フレームのみの構造で雪に沈みやすい ・ストラップ固定式で脱着が面倒 |
スノーシューの基本構造
スノーシューの形はどれも似ていますが、構成している部品はモデルにより大きく違います。
それぞれの特徴を理解した上でお気に入りのスノーシューを見つけましょう。
フレームとデッキ
雪の上での浮力を得るために最も重要な部品がフレームとデッキ。
ここでは現在多く採用されている2パターンを紹介します。
フレーム=金属 、デッキ=ファブリック
フレームが金属(主にアルミ)で、デッキが高強度ファブリック(生地)で構成されています。
フレームそのものが滑り止めのブレードになっているので、あらゆる方向に対してしっかりグリップします。
山岳用スノーシューに多く採用されている構造です。
フレーム=なし、デッキ=樹脂
フレームがなく、デッキは穴の空いた樹脂で構成されており、金属フレームに比べて軽量です。
裏側には横方向の滑りを防ぐブレードが設置されています。
樹脂デッキの柔軟性がさまざま雪面状況にフィットする構造です。
バインディング
バインディングとは、登山靴をスノーシューに固定するための部品。
現在多く採用されているのがストラップ式とBOAフィットシステムの2タイプ。
どちらを選ぶかで脱着の煩わしさが違ってきます。
ストラップ式
ストラップには水を吸わない伸縮性のある素材が採用されています。
脱着が少々面倒ですが、ストラップは簡単に交換できるので、替えを携行しておけば万が一切れても大丈夫。
ボアフィットシステム
ダイヤルを回すことでワイヤーが均等に締まり靴を固定できます。
最大のメリットは片手でも簡単にできる脱着のしやすさ。
ただし、ワイヤーが切れてしまったら簡単に交換できないため、修理を依頼する必要があります。
クランポン
クランポンはバインディングの裏側に付いている爪のこと。
急斜面でも滑らず登るトラクションを生み出す重要な部品です。
ヒールリフト
山岳用スノーシューには必ず付いているヒールリフト。
かかと部分を上げることで登り坂で足首にかかる負担を軽減できます。
ヒールリフトを上げる際にいちいち屈むのが面倒ですが、立ったままトレッキングポールを引っ掛けることで簡単に設定できるモデルが多いです。
フラットな場所や下り坂では不要なので収納しておきましょう。
スノーシューの長さは重量(体重+装備)で選ぶ
スノーシューの長さは、自分の体重に加えて、装備の重さも考慮して選びます。
以下でTUBBSのHPで紹介されているサイズ表を掲載します。
重量(体重+装備) | スノーシューの長さ |
---|---|
36〜73kg | 21インチ(約53センチ) |
55〜91kg | 25インチ(約64センチ) |
86kg以上 | 29インチ(約74センチ) |
軽量な場合であれば21インチでもいいですが、サイズが小さいと浮力も小さくなります。
また、山に登る場合は29インチだと長すぎて安全な歩行を妨げてしまうこともあるので注意。
最も多くの人に適したサイズは25インチではないかと僕は思います。
おすすめスノーシュー14選の一覧表
今回紹介するスノーシュー全14種類の一覧表です。
画像もしくは商品名をクリックすると紹介項目に飛びます。
用途 | ブランド | 商品名 | ペア重量 | 画像 |
---|---|---|---|---|
山岳 | MSR | ライトニングアッセント | 1,946g | |
山岳 | TUBBS | FLEX VRT | 1,980g | |
山岳 | TUBBS | FLEX ALP | 2,020g | |
山岳 | ATLAS | レンジ MTN | 1,830g | |
山岳 | ATLAS | ヘリウム MTN | 1,520g | |
緩斜面 | MSR | ライトニングエクスプローラー | 1,689g | |
緩斜面 | TUBBS | FLEX RDG | 1,790g | |
緩斜面 | TUBBS | FLEX TRK | 1,780g | |
緩斜面 | ATLAS | レンジBC | 1,810g | |
緩斜面 | ATLAS | ヘリウム BC | 1,450g | |
平坦地 | MSR | EVO | 1,640g | |
平坦地 | TUBBS | FLEX ESC | 1,720g | |
平坦地 | TUBBS | FLEX STP | 1,590g | |
平坦地 | ATLAS | ヘリウム TRAIL | 1,550g |
急斜面でも登れる山岳用におすすめのスノーシュー5選
MSR(エムエスアール) ライトニングアッセント
ライトニングアッセントは、MSRの最上位モデルのスノーシュー。
周囲のアルミフレーム自体に爪が付いており、急斜面でも優れたグリップ力を発揮します。
柔軟なファブリックデッキが狭いトラバース地帯などあらゆる雪面にフィットし、まさにスノーシューで山頂を目指す人向けのモデル。
パラゴンバインディングとテレベーター(ヒールリフト)で登り坂でも足首にかかる負担を軽減してくれます。
MSRにはライトニングエクスプローラーというモデルがありますが、バインディングやテレベーターに違いがあり、ライトニングアッセントの方が登山を得意とします。
TUBBS(タブス) FLEX(フレックス) VRT
FLEX VRTは、TUBBSのスノーシューで最も登山に適したモデルです。
僕が雪山登山で使っているスノーシューで、レビュー記事も書いているので参考にして下さい。
バインディングはボアフィットシステムで登山靴を均等に固定することが可能。
樹脂デッキはトーションデッキとフレックステールと呼ばれるテクノロジーで、でこぼこの急傾斜でも安定した歩行を可能にしてくれます。
ヒールリフトは、トレッキングポールを引っ掛けて簡単に設定可能。
バインディング裏側のクランポンと2列のトラクションレールが、がっちり雪面や凍結路面をグリップすることで急斜面でもグイグイ登れます。
僕が雪山登山で使っているスノーシューで、レビュー記事も書いているので参考にして下さい。
TUBBS(タブス) FLEX(フレックス) ALP
FLEX ALPはTUBBSのもうひとつの山岳用のスノーシュー。
FLEX VRTと性能は同じですが、違いはバインディングシステムがストラップ式であること。
ボアフィットシステムと比較するとバインディングの着脱の容易さや固定具合がやや劣りますが、登山性能は申し分なしです。
ATLAS(アトラス) レンジ MTN
レンジMTNは、フレームがアルミ、デッキがファブリックで構成されていATLASの山岳用スノーシュー。
バインディングは着脱が簡単なボアフィットシステムを採用。
雪山登山で効果を発揮するクランポンやヒールリフトももちろん装備しています。
ノコギリ状の刃が付いている周囲のアルミフレームは、断面がT型で、剛性・軽量性のほか柔軟性も備えており、トラバース時や凸凹な雪面でも安定した歩行が可能です。
ATLAS(アトラス) ヘリウム MTN
ヘリウムMTNは、軽量な樹脂デッキに穴をあけてさらに軽量化したATLASの山岳用スノーシュー。
レンジ MTNとの違いはフレームがないため、裏側にはトラクションレールを備え横方向の滑りを防ぎます。
バインディングはボアフィットシステム、裏側にはクランポンがあり、ヒールリフトも備えています。
緩やかな斜面用におすすめのスノーシュー5選
MSR(エムエスアール) ライトニングエクスプローラー
ライトニングエクスプローラーは、ライトニングアッセントと並ぶMSRの代表的スノーシュー。
緩やかな斜面用で紹介しましたが、山岳用として使用しても問題なく登れます。
ライトニングアッセントと同様にアルミフレーム自体に爪があり、柔軟なファブリックデッキを採用することで急斜面やトラバースにも対応。
テレベーター(ヒールリフト)も付いているため、登り坂でも足首にかかる負担を軽減してくれます。
ライトニングアッセントと比較すると、クロスメンバーの爪がやや滑らかなことと、バインディングとヒールリフトの形状が違います。
TUBBS(タブス) FLEX(フレックス) RDG
FLEX RDGは、TUBBSのスノーシューの中で、緩やかな斜面用のモデル。
バインディングはボアフィットシステムで素早い着脱が可能。
山岳用のFLEX VRTやFLEX ALPよりもクランポンの数が少ないですが、その分軽量化されています。
トラクションレールは山岳用と比べると先端の形状が違いますが、ヒールリフトも付いているため、斜面でも問題なく登れます。
TUBBS(タブス) FLEX(フレックス) TRK
FLEX TRKは、TUBBSの緩やかな斜面用のスノーシュー。
FLEX RDGとの違いは、バインディングがストラップ式であること。
ボアフィットシステムと比べると着脱の容易さや固定具合はやや劣りますが、性能には特段の差はありません。
ATLAS(アトラス) レンジ BC
レンジBCは、ATLASの緩やかな斜面用のスノーシュー。
レンジMTNとフレーム・デッキが同じで形状が似ていますが、違いはバインディングとクランポンの形状です。
バインディングが、ボアフットシステムのレンジMTNに対して、レンジBCはストラップ式を採用。
このバインディングはパックフラット・バインディングと呼ばれ、左右のスノーシューをピッタリ重ねて収納することが可能です。
ATLAS(アトラス) ヘリウム BC
ヘリウムBCは、ATLASの緩やかな斜面用のスノーシュー。
ヘリウムMTNとフレームとデッキが同じなので形状が似ていますが、違いはバインディングとクランポンの形状です。
樹脂デッキとトラクションレールは同じです。
ヘリウムBCのバインディングはストラップ式のパックフラット・バインディングで、レンジBCと同様にピッタリ重ねて収納できます。
ヘリウムMTNは1,520gと非常に軽量なスノーシューでしたが、このヘリウムBCはさらに軽い1,450gです。
平らな場所でのトレッキングにおすすめのスノーシュー4選
MSR(エムエスアール) EVO
MSR EVOは、平らな雪原をハイキングするためのスノーシュー。
デッキは樹脂製でフレームやヒールリフトはありません。
前爪のみのクランポンと2本のトラクションレールで必要最低限の装備が付いたスノーシュー。
とても軽量なので、気軽にスノーシュートレッキングを楽しむのに適したモデルです。
TUBBS(タブス) FLEX(フレックス) ESC
FLEX ESCは、TUBBSのスノーシューの中で、斜面の少ない平坦地を歩くためのモデル。
山岳用と比べると簡易的な作りになっていますが、軽量化され雪原を非常に歩きやすいスノーシューです。
バインディングはストラップ式ですが、着脱が簡単で、解除の際はワンプッシュするだけでなので煩わしさがありません。
クランポンは前爪のみで、トラクションレールも短いですが、ヒールリフトが付いているので、緩やかな斜面であれば登ることができます。
TUBBS(タブス) FLEX(フレックス) STP
FLEX STPは、FLEX ESCと同じくTUBBSの平坦地用スノーシュー。
FLEX ESCとの違いは、ヒールリフトがないこと。
基本はフラットな雪原を歩くためのスノーシューですが、なだらかな斜面くらいなら問題なく歩けます。
ATLAS(アトラス) ヘリウム TRAIL
ヘリウムTRAILは、ATLASの平坦地用スノーシューで、他のヘリウムシリーズ同様に軽量な樹脂デッキを採用しています。
柔らかいな網目状をした「ラップバインディング」は、アッパーが柔らかい登山靴にもフィットさせることができます。
スノーシュー装着時の歩き方
スノーシューのペア重量は約1.5〜2kg、長さは60cm前後。
そんなスノーシューを装着して歩く際、通常と同じように一歩を踏み出せば間違いなく転びます。
安全なスノーシュートレッキングを実践するために、基本的な注意点について解説します。
基本の歩き方
スノーシューは通常の靴よりも幅が広いため、足を開き気味に歩くことが重要。
雪が深い場所だと足元が見えづらくなり、無意識のうちに左右のスノーシューが接触してしまいます。
スノーシュー同士がぶつかるとバランスを崩しやすくなるため、足をやや広げて平行に出すように歩きましょう。
スノーシューを装着すると後ろ向きでの歩行は転倒しやすいので、慣れるまでは方向転換してから常に前向きで進むようにします。
トレッキングポールを一緒に使えばより安定した歩行ができます。
登り坂
登り坂では斜面につま先を蹴り込んでクランポンでしっかり雪を掴むようにして登ります。
ヒールリフトを利用すると登りやすくなります。
下り坂
ヒールリフトは下り坂では不要なので収納しておきましょう。
登りより下りの方が雪に埋まりやすくなります。
テール部分が浮いてしまうとスノーシューが縦になり非常に歩きにくいので、テールを雪面に引き擦るようなイメージだと歩きやすいです。
急な下り坂では、斜面に対してスノーシューを横にしてデッキ全体で雪を踏み固めるように一歩を踏み出すと安全に下ることができます。
深い雪の場合は思った以上に沈むことがあるので、しっかり雪を踏み固めてから次の一歩を踏み出すようにしましょう。
トラバース
スノーシューの裏面全体を雪面に接地させることで横滑りを防ぎます。
狭くて足場がない場所では、谷側の足を開き気味にしてやや下を向けることで全体の爪を効かせます。
スノーシューのメンテナンス方法
スノーシューを長く快適に使用するためには、適切なメンテナンスが欠かせません。
ここでは、スノーシューの寿命を延ばし、パフォーマンスを保つための基本的なメンテナンス方法を紹介します。
メンテナンスとは言ってもやることはとても簡単で以下のとおりです。
- 水洗いして泥汚れを落とす
- しっかり乾燥して、金属部分にサビ止めを塗る
サビ止めはシリコンスプレーかスキー・スノボー用でOK - 必要に応じて爪の先端を研いでおく
スキー・スノボー用のヤスリがおすすめ - 直射日光の当たらない湿気の少ない場所で保管する
以上の方法を実践することで、スノーシューをより長く快適に使用することができます。
雪山での安全な登山を楽しむためにも、日頃からのメンテナンスを心がけましょう。
スノーシューをリュックに固定する方法
雪山登山では、スノーシューを必要なときにすぐに使えるようにしつつ、邪魔にならないようにリュックに収納することが重要です。
リュックのどこにスノーシューを収納するかは、リュックの種類によって異なります。
ここでは、僕が愛用しているカリマーリッジ30への収納方法を解説します。
ストラップを使ってリュック外側に固定する
リュック外側のストラップやデイジーチェーンを使って取り付ける方法です。
多くの登山用リュックはスノーシューの固定に適したストラップが付いていますが、ない場合は別途購入して固定します。
どのリュックでも可能な方法ですが、スノーシューを重ねた上でリュック外側に固定することになるので、しっかり固定しないと途中で不安定になりやすいです。
左右のサイドポケットを使って固定する
スノーシューを片方ずつ左右のサイドポケットに入れて収納する方法です。
スノーシューのテール部分をサイドポケットに入れて、上部をストラップで固定します。
スノーシュー裏側の爪が剥き出しになるので、生地が薄いリュックの場合は緩衝材を当てた上で収納した方が良いです。
カリマーリッジの場合は、生地が厚いので直接爪が当たっても今のところ平気です。
まとめ スノーシューがあれば雪山遊びがもっと楽しめる!
雪山登山やハイキングを快適に楽しむためには、自分の登山スタイルにピッタリなスノーシューを選ぶことが重要です。
今回の記事で紹介した14種類のスノーシューは、すべて実績あるブランドばかりなので、どれを選んでも性能は文句なし。
お気に入りのスノーシューを手に入れて雪山遊びの幅を広げましょう。
この記事が、スノーシュー選びの参考になれば幸いです。
それでは、安全で楽しい雪山登山をお楽しみください!