みなさん、おつかれヤマです、マッシュです。
寒い時期の登山で重要な要素の一つが「保温」。
平地と違って山は体温低下によるリスクが高い場所であるため、防寒対策を万全にしておきたいところです。
そこで今回紹介するのは、近年話題になっている保温・行動着である「アクティブインサレーション」。
「アクティブインサレーション」の特徴は、化繊素材を使用していること。
化繊素材は「保温」と「通気」を両立させ、濡れても保温力を維持できます。
この記事では、数あるアクティブインサレーションの中から特におすすめの7つを厳選し、それぞれの特徴を徹底比較して紹介します。
これを読めば、あなたにぴったりのアクティブインサレーションが見つかるはずです。
アクティブインサレーションとは、防寒・保温を目的とした行動着
「アクティブインサレーション」とは「防寒・保温を目的とした行動着」のこと。
それぞれの単語の意味を考えると分かりやすいです。
「アクティブ(Active)」=「行動的、活動的」
「インサレーション(Insulation)」=「断熱、絶縁」
ダウンやフリースなどの保温着は、保温力は高いものの、行動中に着用すると熱がこもりやすく、汗で濡れると保温力が低下するデメリットがあります。
これに対し、アクティブインサレーションは次のような特徴を持ち、登山などアウトドアシーンでの快適性を向上させます。
- 中綿に化繊綿を使用することで濡れに強く、通気性が良い
- 軽量で動きやすく、コンパクトに収納できる
- レイヤリングに適している
- 自宅でメンテナンスできる
中綿に化繊綿を使用することで濡れに強く、通気性が良い
アクティブインサレーションは中綿に化繊素材が採用されていることが多いです。
この化繊素材の大きな特徴は「濡れても保温力を維持できる」ことと「通気性の高さ」です。
ダウンやフリースは、行動中に着ると体温が上がりすぎてしまい、汗などで濡れてしまうと保温力が一気に落ちてしまいます。
これに対して、化繊素材はウェア内の熱と湿気を効果的に外に放出することで、行動中でも適切な体温を保つことを可能にしています。
アクティブインサレーションは、休憩や宿営など動きが少ない場面はもちろんですが、特に行動中にその効果を実感できます。
軽量で動きやすく、コンパクトに収納できる
あらゆる登山道具において「軽さ」というのは最大のメリット。
アクティブインサレーションは、軽量かつコンパクトに収納できるものが多く、長時間の移動やバックパックでの持ち運びに適しています。
レイヤリングに適している
アクティブインサレーションは行動中の着用を前提に作られているので、ダウンなどと比べて中綿の量は少なめ。
そのため、冬山の稜線上など特に寒い場面では体が冷えることも想定されます。
そんなときはハードシェルまたはウインドシェルを組み合わせてレイヤリングすることで細かい体温調節が可能。
コンパクトに収納できるので、気温が高く着用しないときはリュック内に入れてもかさばりません。
自宅でメンテナンスできる
アクティブインサレーションは耐久性が高く、水や湿気に強いため、メンテナンスが比較的簡単です。
洗濯機の使用が可能で、生地表面の撥水が落ちてきたら撥水スプレーをかければ十分。
通常の衣類と同様にハンガーにかけて干すことができます。
一方、ダウンジャケットは湿気に弱く、繊細なケアが必要です。
乾燥時、ハンガーにかけるとダウンが偏ってしまうため、平干しするなど何かと気を使います。
ダウンジャケットやフリースの特徴
アクティブインサレーションと同じ保温着であるダウンジャケットとフリースの特徴について説明します。
登山中の天候や活動強度に合わせて、これらのウェアを適切に組み合わせることが重要です。
それぞれの特徴を押さえ、適切なウェアを選びをすることでより快適な登山をしましょう。
ダウンジャケット
ダウンジャケットのメリットとしては、まず圧倒的な軽さと高い保温力が挙げられます。
天然の羽毛を使用しており、空気をたっぷり含むことができるため、効率良く保温ができます。
また、コンパクトに収納できる点も登山では便利。
しかし、濡れると保温力が著しく低下することが最大のデメリットです。
雨や汗などの湿気には弱く、速乾性もないため、山では絶対に濡らしてはいけません。
生地が破れやすいことから耐久性においては化繊ジャケットに劣ることが多いです。
メリット
・圧倒的な軽さ
・高い保温性
・空気を多く含むため効率的に体温を保てる
・コンパクトに収納可能で持ち運びに便利
デメリット
・濡れると保温性が大幅に低下
・速乾性がない
・耐久性が化繊ジャケットに劣る
フリース
登山において中間着として便利なフリースは、軽くて温か、通気性が良い点です。
汗をかいても蒸れにくく、快適な着心地を保てます。
ある程度乾きやすいため、汗で濡れた場合でも比較的すぐに乾きます。
しかし、通気性が良い反面、防風機能が弱いため強風時には冷えを感じやすいというデメリットも。
また、中厚以上のフリースはコンパクトに収納しにくいため、荷物が多くなりがちな縦走登山では不利になりがちです。
メリット
・軽くて温かい
・通気性が良く、蒸れにくい
・速乾性があり、濡れてもすぐ乾く
・価格が手頃
デメリット
・風を通しやすく、強風時に冷えやすい
・雨などに対する防水機能はない
・コンパクトに収納しにくい
アクティブインサレーションのレイヤリング例
季節を問わず変わりやすい天候の中で、快適な登山をするために欠かせないのがレイヤリングです。
本章では、季節ごとのアクティブインサレーションの効果的なレイヤリング例を紹介します。
春(4月~5月) 山域例:八ヶ岳など2,000m超の稜線歩き
春は残雪も多く、寒暖差が大きいため、防寒対策は必須。
アクティブインサレーションとフリースを活用することで、暑さと寒さの両方に対応できるようにします。
- ベースレイヤー:速乾性の高い薄手の化繊シャツ
- ミドルレイヤー:軽量フリース
- アクティブインサレーション:保温性、通気性を備えた化繊中綿ジャケット
- シェル:防風防水のハードシェル
夏(7月~8月) 山域例:槍ヶ岳や奥穂高岳での小屋泊・テント泊
夏の高山では、日中はベースレイヤーで十分ですが、夜間早朝は気温10度前後まで冷え込むことも珍しくありません。
翌朝、日の出前に出発しようとしても寒くてなかなか体が動かないことも・・・。
いずれの場合もベースレイヤーの上からアクティブインサレーションを着るだけで防寒対策としてバッチリです。
- ベースレイヤー:速乾性の高い薄手の化繊シャツ
- アクティブインサレーション:保温性、通気性を備えた化繊中綿ジャケット
秋(10月~11月) 山域例:甲武信ヶ岳や金峰山などの奥秩父
秋は寒さが進むスピードが早く、紅葉に見惚れているといつの間にか冬の足音が聞こえてきます。
この時期の登山は、標高が低い場所でも冷え込みが強く、稜線で風が吹くと平地の冬並みに寒さを感じます。
この時期は気温の低下に備え、アクティブインサレーションが防寒着としても役立ちます。
防寒対策ばかりに気を取られると、日当たりいい場所では暑くて汗をかく場面もあるので、レイヤリングによる体温調整がより重要な季節です。
- ベースレイヤー:速乾性の高い中厚の化繊シャツ
- ミドルレイヤー:軽量フリース
- アクティブインサレーション:保温性、通気性を備えた化繊中綿ジャケット
- シェル:撥水機能を備えたウインドシェル
冬(12月~3月)山域例:木曽駒ヶ岳や唐松岳での日帰り登山
冬は厳しい寒さと雪の影響があるため、防寒対策が最重要となります。
アクティブインサレーションは、激しい動きの中でも体温を保ちながら湿気を外に逃がすため、冬期登山でも非常に効果的です。
シャツ(ベースレイヤー)やフリース(ミドルレイヤー)を他の季節よりも保温力の高いものに変えて寒さ対策をすることで、山域や天候に合わせた快適な登山が可能です。
- ベースレイヤー:速乾性の高い厚手の化繊シャツ
- ミドルレイヤー:高保温のフリース
- アクティブインサレーション:保温性、通気性を備えた化繊中綿ジャケット
- シェル:防風防水のハードシェル
登山におすすめアクティブインサレーション7選
本章では、登山に最適なアクティブインサレーションの中から、特におすすめの7アイテムを厳選して紹介します。
アクティブインサレーションの中でも「行動中」と「休憩中」それぞれに適したものがあります。
でも1着選ぶだけでも大変だし、数万円する高価な登山ウェアを何着も買えないという方が多いと思います。
そこで、僕自身でリサーチを重ねて、行動中でも休憩中でも使える汎用性の高いアクティブインサレーションを選びましたので、ぜひ参考にしてください。
【おすすめアクティブインサレーション一覧表】
画像もしくは商品名をクリックすると紹介項目に飛びます。
No | 画像 | メーカー | 商品名 | 中綿素材 | 重量 |
① | アークテリクス | アトムフーディー | コアロフト | 370g | |
② | ファイントラック | ポリゴンULジャケット | ファインポリゴン | 185g | |
③ | マウンテン ハードウェア | コアエアシェル ウォームフーディ | オクタ | 350g | |
④ | ザ・ノースフェイス | ハイブリッド アブレイザーフーディ | プリマロフト、 ベントリックス | 160g | |
⑤ | カリマー | インサレーション LTフーディー | プリマロフト | 430g | |
⑥ | ミレー | ブリーズバリヤー トイIIジャケット | スルーウォーム | 392g | |
⑦ | マムート | クラッグインサレーション フーデッドジャケット | ロープ インサレーション | 504g |
① アークテリクス アトムフーディー
アークテリクスの化繊中綿ジャケットの定番であるアトムフーディー。
アトムLTフーディーから名称変更されたもので、毎年売り切れ続出の大人気商品です。
僕もこのアトムフーディーを1年中登山で使っています。
アークテリクスにはさまざまなシリーズがありますが、「アトム」が意味するのは次の通り。
「高い耐候性を持つ多用途合成インサレーテッド・ミッドレイヤー」(引用元:アークテリクス公式HP)
つまるところ「防水・防風機能と保温力を備えた中間着」といったところでしょうか。
表地にはヨーノ(Tyono)と呼ばれる通気性と耐久性を備えた防水素材を使用、ある程度の雨風には耐えられます。
中綿には、アークテリクスが独自に開発したコアロフト(Coreloft)と呼ばれる化学繊維を使用。
汗などで濡れても保温力を維持することができ、使用回数を重ねてもロフトがへたらない耐久性を兼ね備えています。
側面にはストレッチの効いたフリース素材を採用、熱のこもりやすい脇の通気を良くして行動中でもオーバーヒートしにくい構造です。
まさにアクティブインサレーションの代名詞的な存在と言っても過言ではありません。
アトムシリーズには他にも、最も保温力があるアトムヘビーウェイトフーディー、中綿の量が少なめのアトムSLフーディーというラインナップがあります。
アトムフーディーはこれらの中間に位置しています。
② ファイントラック ポリゴンULジャケット
ポリゴンULジャケットは、ファイントラックの独自素材「ファインポリゴン」を使用したアクティブインサレーション。
濡れに強い保温力と、蒸れにくい通気性を備えており、1年中使える高性能な登山ウェアです。
ポリゴンULジャケットの最大の特徴はその軽さです。
185gという驚きの軽さで、レイヤリングがやりやすく、収納時も非常にコンパクトになります。
体が動きやすいデザイン設計がされており、スッキリとしたシルエットなのに行動中の動きを妨げることはありません。
③ マウンテンハードウェア コアエアシェルウォームフーディ
コアエアシェルウォームフーディーは、日本の繊維メーカー・帝人が開発した化学繊維「オクタ」を裏地に使用したアクティブインサレーション。
オクタは、内部が中空になっている糸で、空気を溜めることで保温性能を高め、その上で水分を効率よく通すこともできるため吸汗速乾にも優れています。
また、非常に軽い素材で、同じ体積のポリエステル繊維と比べると約1/2の軽量感があります。
表面の生地には防風性・耐水性に加えて通気性にも優れた「パーテックスカンタムエアー」という素材を使用しています。
この2つの素材を組み合わせることで、寒い朝でも温かい状態でスタートすることができ、冷たい風が吹く稜線上でも体温の低下を防げます。
④ ザ・ノースフェイス ハイブリッドアブレイザーフーディ
ハイブリッドアブレイザーフーディは、部分により異なる化繊中綿を使用したアクティブインサレーション。
前身頃と袖部分の中綿には軽くて温かい「プリマロフト」を使用。
背面部分には、蒸れを防ぐためにより通気性に優れた「ベントリックス」を使用しています。
160gという非常に軽量なウェアでコンパクトな収納もできるため、ミドルレイヤーとしての使用に加えて、サッと羽織って寒さを凌げる携行保温着としても便利です。
⑤ カリマー インサレーションLTフーディー
インサレーションLTフーディーは、「プリマロフト」を使用したアクティブインサレーション。
プリマロフトは、優れた保温性と軽量性を持つ化繊中綿素材です。
ダウンに代わる断熱材としてアメリカで開発され、水に濡れても保温性を維持する特徴があります。
また、通気性や速乾性も高く、アウトドアウェアや寝袋に広く使用されています。
表地は撥水処理されているため、アウターとしての使用はもちろん、ハードシェルの内側にミドルレイヤーとして着用もできる使い勝手に優れた一着です。
⑥ ミレー ブリーズバリヤー トイ Ⅱ ジャケット
ブリーズバリヤートイIIジャケットは、中綿にミレー独自素材である「スルーウォーム」を使用したアクティブインサレーション。
スルーウォームは、保温力を維持しながら通気を行うことで、衣服内を寒さや蒸れから防ぎ、常に快適な状態を保ってくれます。
表地には、撥水・防風・通気の各性能に優れた独自素材「ブリーズバリヤー」を使用。
また、体の動きを妨げない立体裁断とストレッチ仕様で行動中の不快感を最小限にしてくます。
⑦ マムート クラッグ インサレーション フーデッド ジャケット
クラッグインサレーションフーデッドジャケットは、マムートの独自素材である「ロープインサレーション」を使用。
アウター素材は防風・撥水性能を備えており、0度以下の環境でも優れた保温性と快適さを提供するアクティブインサレーションです。
街用の防寒着は登山で使えるか?結論、おすすめしない
街用の防寒着は日常使いに適したデザインと機能性を持っていますが、登山での使用には注意が必要です。
街用ウェアは、登山ウェアに比べて透湿性や速乾性が低いため、行動中に衣服内が蒸れやすく、汗で濡れると乾きにくくなります。
また、街用ウェアは、保温性は十分でもレイヤリングに適していないことが多く、「着ると暑いけど脱ぐと寒い」ということになり、細かい体温調整ができません。
登山では軽量かつコンパクトに収納できることが重要ですが、街用ウェアはその点でも非常に不利です。
一方で、短時間のハイキングや軽登山であれば、街用の防寒着でも十分な場面もあります。
ただし、本格的な登山や厳しい環境では、登山専用のウェアを選ぶことが安全と快適性のために推奨されます。
- 街用ウェアは、あくまで日常使いに適したデザインと機能
- 登山中に蒸れやすく、汗で濡れると乾きにくい
- レイヤリングが難しい
- コンパクトに収納できないものが多い
- 天気がいい日の短時間のハイキングや軽登山なら可能な場合あり
アクティブインサレーションまとめ
本記事では、アクティブインサレーションのおすすめを紹介しました。
どれも各メーカーを代表するハイスペックウェアばかりで、性能で選ぼうとすると迷ってしまうかもしれません。
僕は初めて着たとき「薄くて軽いのになんでこんなに温かいの!?」と感じました。
デザイン性も抜群で、街で着てもまったく違和感なしです。
お気に入りの一着を手に入れれば、外に出かけるのが楽しくなることは間違いありません。
本記事がアクティブインサレーションを購入する際の参考になれば幸いです。
それでは、マッシュでした。